その操体法の講習をやっているところは、どこかのフロアを借り切っているのではないかと思っていました(一日体験に行った整体がそうだったので)。
しかしフタを開けてみれば、マンションの一室で夫婦ふたりでこじんまりとやっている院でした。 看板はないし、集合住宅の一室のドアに小さく額がぶら下げられているだけで、どうにもガシガシ儲けているとは思えない感じでした。 後から聞いたのですが、私がそこの最初の講習生だったとのことです。 しかしこのことは裏を返せば、学ぶにはもってこい、彼らは最初の講習生をそれは丁寧に看てくれ、まさに最適の環境でした。 理想の講習はマンツーマンですが、ホントはモデルがもうひとりいた方がよいのです。 つまり、ふたりだけの講習だと、見本の操法を受けている間は、それを感じることが最優先なのですが、外から俯瞰することはできません。 一歩離れたところから操法を観ることは、教える者、それと私自身の他にモデルが必要となるということです。 その点、教える人間がふたりいますから、「教わる」「観る」「受ける」という三拍子がすべて高いレベルで揃うわけです。 私は以前に行った整体の講習とはまったく違う、ナマの、ダイレクトなレスポンスを感じることができ、あたかも吸取紙が水をどんどん吸収するように、操体法のエッセンスを体感していきました。 目から鱗が落ちる、とはおそらくこのようなことを言うのだろうと思いました。 正直それまでは操体法のことを、効果があるとかないとかいうよりも、カラダにいいくらいのものかもしれないというふうにしか思っていなかったのです。 多くの方がそうだと思いますが、操体法はなにやら健康法の一種で、ジョギングやウォーキングといっしょで、やれば健康にいいというくらいの認識しかないのではないかと思います。 ところがどっこいで、講習を受けてみると、いわゆる手技療法と呼ばれるもののなかでも、とりわけ絶大な効果をあげるものだということがわかってきました。 正直言って、うれしい誤算でした。 さらに言うと、いわゆる「治療法」という狭い枠には到底おさまりきらない、「生き方の哲学」ともいうべきものであることを理解するまでには、まだしばしの時を必要とするのでした。 ただ話をうかがってみると、操体法の世界はまさに玉石混淆で、あまり効果をあげられない先生や愛好家(プロでなければ許されますが)も多いと聞きました。 確かに本で読んだ操体法の方法とは異質のものでした。 何故かと思いますに、西洋の療術カイロプラクティックやオステオパシーのように矯正法の「形」が決まっており、それをどれだけ上手にやるかという、ある意味合理的な操法とはまったく異なり、形のない、感覚の世界である操体法はおこなう操者ごとに捉え方がそれぞれあり、解釈次第で形はどうにでも変わるものとなるため、根底の部分で足並みを揃えることはある意味、困難を極めることでもあるのかもしれません。 もちろん当時は私はなにもわからず、話を聞いて、ほう~とうなずくばかりでした。
by ryu-s1959
| 2005-01-21 19:24
| 操体法
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